● 火星の極冠
北半球 CO2 + H2O
南半球 CO2
年間通して存在する.
● 惑星パラメータ (地球の値)
基本的な物理量
惑星半径(km) 3400 (6400)
重力加速度(m/ss) 3.72 (9.8)
自転角速度(rad/s) 7.08e-4 (7.29e-4)
惑星アルベド 0.24 (0.3)
気象学的パラメータ
平均地表気圧(hPa) 6 (1013)
大気主成分 C02 (N2,O2)
特徴的な物理量 (Zurek et al.(1992))
放射平衡温度(K) 210 (255)
放射緩和時間(day) 〜2 (>20)
スケールハイト(km) 10.8 (7.5) ※1
浮力振動数 N (1/s) 0.6e-2 (1.1e-2) ※2
ロスビー変形半径 L(km) 920 (1150) ※3
※1 H = RT/g = 200 x 190 / 3 = 4 x 10^4 / 3 〜 10^4m
= 10 km
※2 N^2 = g/ \bar{theta}・ d \bar{theta}/ dz
※3 L = NH/f = c/f
ロスビーの変形半径って何? (復習してみよう)
1. 回転を感じるスケール
2. スケールアナリシスを行ってやると,
出てくるスケール
3. 回転系でコリオリ力と圧力傾度力がバランスし
た定常状態で, 始めに与えた水面差(擾乱)が変
形を受けるスケールである.
変形を受けている部分の回転放物面の傾きより
は緩くなる. 外から見ると(静止系からみると)
変形を受けている部分の角速度は周囲の角速度
よりも小さくなっている. 回転系からみると,
中央の変形を受けている部分は, 周囲と逆回転
しているように見える.
● 火星と地球の軌道
- 火星の軌道の方が地球の軌道よりも楕円である.
- 火星の北半球の夏って何? 地球だったら 6,7,8月だよね.
どうして夏至をはさんでないの ?
- なぜか, 北半球の夏至から北半球の秋分までを夏と伝統的に
定義してしまっているようだ.
- Ls と SOL の対応表ないかな...
● 過去の探査衛星
- リモートセンシング: 地形, 気温, 水蒸気, ダスト, 極冠
マリナー 9
バイキング 1, 2
マーズグローバルサーベイヤ
- 直接観測: 表土, 気温, 気圧, 風光, 風速
バイキング 1, 2
マーズパスファインダ
マーズポーラーランダー (失敗)
● 観測事実
- 大きな高低差 (大きな火山)
- 海(液体の水)が無い(昔はあった)
- 火星の固有磁場は無い. 残留磁場はあるようだ. 反転もしていたら
しい.
- 南北半球間の非対称
南半球のほうが北半球にくらべ平均的に高い (〜3.8km)
地質学的に見て北半球の方が南半球よりも相対的に新しい.
ちなみに, 一番古い所はクレータのいっぱいあるところと考えられ
ている.
クレータの判別は, 重力場を計ってみるといいらしい. 最近では重
力場の計測から新たにクレータが見付かったようだ.
- 気温
リモートセンシングによる子午面分布
着陸船による一点観測
複数の波長で特徴的な高さがあるので, ある程度鉛直分布もわかる.
- 地表気圧, 風
温度風で求める(地面を 0 として計算)
着陸船による一点観測
季節変化大 (5〜9hPa)
極冠が現れているときには, 気圧は下がる.
(北半球の冬至の時が一番気圧高い. 北半球の気圧低下よりも南半
球の気圧上昇が卓越しているため.)
パスファインダの気象のデータはまだちゃんとは公開されていない.
年変動値のギザギザの部分って何?
-> 潮夕波(一日と半日)と傾圧波によるものだと考えられている.
-> ダストストームの起こっている時にはそちらが上記よりも卓越.
- ダスト
可視光に対する光学的厚さ (τ=0.3〜1.5)
ダストストーム
- 極冠
両極に見られる氷のかたまり
北極冠は CO2 と H2O
南極冠は CO2
極冠の厚さはレーザを用いて詳細に調べられている.
● まとめ
気象データは ...
あると言えばある
少ない一点観測と子午面分布
気象に重要な点
地表気圧の季節変化大 (5-9hPa, CO2 凝結のため)
気温の緯度変化大 (220-150K, 海が無いため)
気温の日変化大 (180-270K)
ダストによる放射加熱 (ダストストーム時の温度構造に影響)
火星の気象でこれがわかると嬉しいって何?
やはりダストストーム.
地球での対応する現象はグローバルには無いだろう.
黄砂とかの現象に何らかの示唆は与えられるかも.
大気の量が少ないので, ちょっとしたダストの加熱でもグロー
バルに影響される.
ところが, 過去未来の地球, 火星という気候学的な観点から
みると, 必ずしもダストストームは加熱だけに効くかどうか
は不明である.
地球で巻上がらないダストがなぜ火星では巻上がるのか.
地球のほうが火星よりも大気は重いのに. 普通の説明では,
地球の大気は火星よりも静的安定度が高いので, 巻上がらな
い. だけどよく分かってないよね, というお話し.
とかなんとか.