Salt Finger



海の水の密度は, 温度と塩分の関数である. 同じ密度でも, 高温・高塩分の水もあれば、 低温・低塩分の水もある。 この様に, 密度はほとんど同じであるが, 温度と塩分が違う水塊が接しているとき, 熱と塩分の拡散の速さが違うために, 面白いことが起こる.

冷たい真水の上に, 温かい塩水が 乗った状態を考えよう. (塩水は真水より軽くなるほど十分に温かい) 塩と熱では熱の方が拡散が速いので, 境界付近上部の塩水は、冷やされて重くなり, 逆に下部の真水は暖められて軽くなる. このため, 境界付近で密度が逆転し, 重たい塩水は下に、軽い真水は上に向って, 「えのき茸」のように伸びてゆく. この現象はその形から『SALT FINGER』と呼ばれている.

この現象は分子拡散によるもので, 海のスケールに比べると桁違いに小さな現象であるが, 海全体の温度・塩分分布を決める重要なプロセスの1つである.


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