[5.3.1] ep.zone に関する注意
専攻ネットワークではこの ep.zone を
gate-toroku-system
によって作成している.
そのため, 本来ここで手作業で作る必要はない.
しかし, ゾーンファイルの理解と
動作確認のため, 仮の ep.zone を作成する.
なお, しばらくは ゾーンファイルの解説が続く.
既にゾーンファイルに関して理解が出来ているのならば,
以下の説明は飛ばして
[5.3.11] ep.zone のセッティング
にて作業を行ってほしい.
以下が ep.zone を正式な書法で書いたものである.
$TTL 86400
ep.sci.hokudai.ac.jp. IN SOA yellow.ep.sci.hokudai.ac.jp. postmaster.ep.sci.hokudai.ac.jp. (
2002022840 ;Serial
10800 ;Refresh
3600 ;Retry
604800 ;Expire
86400 ) ;Default TTL
;
; local loopback address
;
localhost.ep.sci.hokudai.ac.jp. IN A 127.0.0.1
;
;
; Name Server record
;
ep.sci.hokudai.ac.jp. IN NS yellow.ep.sci.hokudai.ac.jp.
ep.sci.hokudai.ac.jp. IN NS blue.ep.sci.hokudai.ac.jp.
;
;
; Mail eXchanger record
;
ep.sci.hokudai.ac.jp. IN MX 10 grey.ep.sci.hokudai.ac.jp.
ep.sci.hokudai.ac.jp. IN MX 20 orange.ep.sci.hokudai.ac.jp.
;
;
; Address record
;
yellow.ep.sci.hokudai.ac.jp. IN A 133.87.45.70
blue.ep.sci.hokudai.ac.jp. IN A 133.87.45.66
orange.ep.sci.hokudai.ac.jp. IN A 133.87.45.72
grey.ep.sci.hokudai.ac.jp. IN A 133.87.45.71
white.ep.sci.hokudai.ac.jp. IN A 133.87.45.68
green.ep.sci.hokudai.ac.jp. IN A 133.87.45.69
;
;
; Canonical NAME record
;
www.ep.sci.hokudai.ac.jp. IN CNAME orange.ep.sci.hokudai.ac.jp.
mail.ep.sci.hokudai.ac.jp. IN CNAME grey.ep.sci.hokudai.ac.jp.
以下でこのファイルについて解説する.
ちなみにこのファイルは
ここ
から取得できるが,
後から簡略化した ep.zone について説明するので
今この ep.zone を作成する必要はない.
ネームサーバは他のネームサーバからのゾーン情報をキャッシュに
蓄えているが, そのデータを永遠に保持しているわけではない.
ゾーン情報が新たなものに書き換えられた時のために, 古いゾーン情報を
一定時間で破棄するようになっている.
この, ゾーン情報が生きている(他のサーバで保持される)時間を
TTL (Time To Live) といい, 行頭の $TTLで
その値を定める.
TTL を大きくしすぎると, サーバへのアクセスは減るが
こちらのサーバで設定を変更しても反映されづらくなる.
逆に小さくしすぎるとサーバの変更はすぐに反映されるが
サーバの負荷は多くなる.
専攻ネットワークのDNSサーバでは以下のように
この生存時間を1日(86400秒)とする.
$TTL 86400
以下の部分は このゾーンデータの権威を示す SOA
(Start Of Authority) レコードである.
ep.sci.hokudai.ac.jp. IN SOA yellow.ep.sci.hokudai.ac.jp. postmaster.ep.sci.hokudai.ac.jp. (
:
86400 ) ;Default TTL
このレコードには「このゾーンのドメイン」
「このゾーンデータを保持しているDNSサーバのホスト名」
「このゾーンデータの管理者のメールアドレス」が書き込まれる.
IN(InterNet) の前に「ドメイン名」を書き,
SOA の後ろに, 「サーバのホスト名」「管理者のメールアドレス」
を書く.
なお, 以下の2点に注意すること
- メールアドレスの「@」を「
.
(ドット)」に変える.
- これら3つの名前の最後に必ず「
.
(ドット)」をつける
なお, ( )内の値は Secondary DNS サーバのために必要な値である.
これについては Secondary DNS サーバ構築ドキュメントの
[2.2] ゾーン転送用パラメータ で解説する.
このゾーン(この ep.zone ならば「ep.sci.hokudai.ac.jp」)
に存在するネームサーバを以下のように NS (Name Server)
レコードに記述する.
ep.sci.hokudai.ac.jp. IN NS yellow.ep.sci.hokudai.ac.jp.
ep.sci.hokudai.ac.jp. IN NS blue.ep.sci.hokudai.ac.jp.
左側に「ドメイン」を右側に「ネームサーバのホスト名」を記述する.
ここでも, ドメイン名やホスト名の後ろに必ず
「.
(ドット)」をつけるように
「hogehoge@ep.sci.hokudai.ac.jp」などといったメールアドレスに対して
送られてきたメールをどのホストに配送するかを指定しているのが
以下の MX (Mail eXchanger) レコードである.
ep.sci.hokudai.ac.jp. IN MX 10 grey.ep.sci.hokudai.ac.jp.
ep.sci.hokudai.ac.jp. IN MX 20 orange.ep.sci.hokudai.ac.jp.
ホスト名の前に書いてある数字はメールが配送される優先順位を示し,
数が小さいほど優先順位が高くなる.
数字の桁や大きさには制限がなく, ただその大小で優先順位が比較
される.
つまり, この「10」と「20」が「1」と「100」であっても
「10000」と「10001」であっても同じことを示す.
この設定で具体例を言えば以下のようになる.
- 「hogehoge@ep.sci.hokudai.ac.jp」という
アドレスに送られてきたメールはまず
「hogehoge@grey.ep.sci.hokudai.ac.jp」というメールアドレスに
配送される.
- そこでホスト側がメールを受け取ればこのメール配送は終了する
- grey.ep.sci.hokudai.ac.jp でメールを受け取ってもらえない
場合は次の候補である
「hogehoge@orange.ep.sci.hokudai.ac.jp」にメールが送られる.
専攻サーバでは2つのメールサーバを用意しているため
このような設定になるが,
3つ以上ある場合には更にこの MX レコードに書き足せばよい.
以下の部分は正引きのゾーンデータを記述してある
A (Address) レコードである.
yellow.ep.sci.hokudai.ac.jp. IN A 133.87.45.70
blue.ep.sci.hokudai.ac.jp. IN A 133.87.45.66
:
注意して欲しいのは, この A レコードは,
「ホスト名」に対応する「IPアドレス」を指定しているものであって,
「IPアドレス」に対応する「ホスト名」を指定しているものではない.
以下は, ホスト名に別名を与える CNAME (Canonical NAME)
レコードである.
www.ep.sci.hokudai.ac.jp. IN CNAME orange.ep.sci.hokudai.ac.jp.
mail.ep.sci.hokudai.ac.jp. IN CNAME grey.ep.sci.hokudai.ac.jp.
この指定によって, 一つのホストが複数の名前をもつことが可能になる.
ここでは別名を一つづつ指定してあるだけだが, 一つのホストに対し
複数の別名を与える事も可能である.
この ep.zone には記述していないが,
逆引きのゾーンデータを記述するものとして
PTR (PoinTeR) レコードがある.
例えば, 先ほどの A レコードに対応した逆引きゾーンデータを
用意しようとすれば, 以下のように PTR
レコードを書けば良い.
70.45.87.133.in-addr.arpa. IN PTR yellow.ep.sci.hokudai.ac.jp.
66.45.87.133.in-addr.arpa. IN PTR blue.ep.sci.hokudai.ac.jp.
:
このレコードは前述した
db.127
や, 後述する
local.rev で見ることが出来る.
なお, このレコードは同じゾーンファイル内で A レコード
とは共存できない.
そのため, 正引きゾーンファイルと逆引きゾーンファイルが
別々に必要となる.
[5.3.10] 簡略化した ep.zone
上記の ep.zone
は以下のように簡略化して書くことも出来る.
$TTL 86400
@ IN SOA yellow.ep.sci.hokudai.ac.jp. postmaster.ep.sci.hokudai.ac.jp. (
2002022840 ;Serial
10800 ;Refresh
3600 ;Retry
604800 ;Expire
86400 ) ;Default TTL
;
; local loopback address
;
localhost IN A 127.0.0.1
;
;
; Name Server record
;
@ IN NS yellow.ep.sci.hokudai.ac.jp.
@ IN NS blue.ep.sci.hokudai.ac.jp.
;
;
; Mail eXchanger record
;
@ IN MX 10 grey
@ IN MX 20 orange
;
;
; Address record
;
yellow IN A 133.87.45.70
blue IN A 133.87.45.66
orange IN A 133.87.45.72
grey IN A 133.87.45.71
white IN A 133.87.45.68
green IN A 133.87.45.69
;
;
; Canonical NAME record
;
www IN CNAME orange
mail IN CNAME grey
この場合, 「@ (アットマーク)」やホスト名の後ろには
named.conf で以下のように「ドメイン」として指定されている
「ep.sci.hokudai.ac.jp」が補完されている.
zone "ep.sci.hokudai.ac.jp" {
type master;
file "ep.zone";
};
補完されるか, されないかは最後に「.
(ドット)」が
つくかつかないかで決まる.
例えば, うっかり以下のように記述すると,
yellow.ep.sci.hokudai.ac.jp IN A 133.87.45.70
左のホスト名は「yellow.ep.sci.hokudai.ac.jp.ep.sci.hokudai.ac.jp」
と解釈されてしまう.
そういった訳で, 最後のドットは重要なので記述には気をつけること.
(当然これは A レコードに限った事ではない)
ちなみに, 省略形を使用するからといってそのゾーンファイル全てを
省略形で記述する必要は無い.
では上記の ep.zone を /var/named/ 以下に移動しよう.
ep.zone は
ここ から入手できる.
これを移動し, パーミッションを設定する.
# mv ep.zone /var/named/
# chmod 644 /var/named/ep.zone
# chown root:root /var/named/ep.zone
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