1. 準備
[1.1]インストールするメディアの用意
aqua には Debian GNU/Linux という OS をインストールします。 aqua のインストールには Debian のインストールについて 解説した以下の本と、それに付属でついていた CD を利用しました。
- 「改訂版 Debian GNU/Linux 徹底入門 -Potato対応-」
- CD…3枚ついている。(このインストール作業で使うのは1枚目のみ)
- 著者……武藤健志
- 発行……2000年 9月25日
- 発行所…株式会社 翔泳社 , ISBN4-88135-949-5
2. 基本システムのインストール
[2.0] ノートと筆記用具の用意
ここからは多くのメッセージが表示され、多くの設定作業を伴います。 後々の再構築の際などに「あの設定どうだっけ?」とならないように、適切に記録をとることをお勧めします。
[2.1] BIOS の設定
ブートシークエンスが上から順に、 フロッピーディスクドライブ、 CD-ROM ドライブ、 ハードディスク の順になっていることを確認して下さい。
異なっている場合は変更します。なお、 たいていの場合、上記の様になっている事が多いため、 そのままでも出来てしまったりもします。
[2.2] 起動
本に添付されていた3枚のディスクの内のDISK1 (バイナリ1) をCD-ROMドライブに入れ、 コンピュータを(再)起動させます。
「boot:」と表示が出たら (Enter キー)を押します。
[2.3] Release Note の表示
Release Note が表示されるので、眺めて気分を味わいましょう。 Debian の開発者達に十分感謝した上で <Continue>。
[2.4] インストーレーションメインメニュー
インストールに関するメインメニューが表示されます。 このメニューを使って、Debian の各設定とインストールを行います。
「Next:」(次)の欄には、その時点で必要な項目が 自動的に割り当てられているので、基本的にこれを選ぶだけで設定を進められます。 「Alternate:」(代替)には、「Next:」に次いでその時点で選択する可能性の高い項目が 割り当てられています。
各メニュー項目は十字キーの上下で選択し、 (Enter キー)を押すことで、 そのメニュー項目の設定画面へ移る、または設定を決定します。 現在選択されている項目は、青く反転表示されます。
まれに十字キーで移動できない項目がありますが、この場合は Tab キーで移動します。
なお、このドキュメントの中にはいくども 「デフォルトでよい」という表現が出てきます。 たいていの選択肢では、他のキーを触らずに、そのまま (Enter キー) を押しても、ある選択肢が選ばれます。その選ばれる選択肢でよい場合に 「デフォルトでよい」という表現が使われています。
このメインメニューから抜けて途中で終了させるには、 メニュー項目最下部付近にある「Reboot the System」を選択/決定します。 但し、インストール途中で再起動すると、思わぬ問題が発生する場合がありますから、 原則としてインストールは最後まで通して行って下さい。
表示されるメッセージは全て英語ですが、嫌がらずに読めば、大抵分かるようになっていますので、 (ほんとか?) 読み飛ばさぬよう願います。(確かに何回かやっていると分るようになってくるけど…)
(テンキーを使用する際の注意)
インストールの最中には数を入力する事が結構あります。
キーボード右側にあるテンキーを使用する際にはキーボード右奥の Num Lock のランプ
が光っている事を確認して下さい。光っていない時はすぐ近くの Num Lock キーを押すと
ランプが光るのでテンキーの使用が可能になります。
[2.4.1] キーボードの選択 - Configure the Keyboard
まず「Next (キーボードの設定)」を選択/決定し、 「qwerty/jp106: Japan」を選択/決定します。
[2.4.2] ハードディスクのパーティション作成 - Partition a Hard Disk (特別)
これまでに FIPS により、ハードディスクの Windows 領域と Linux 領域を分割しました。ここでは残りの領域をさらに、システム領域 / (ルート)と、ユーザー領域 /home に分けます。なおメモリ(RAM)の容量が十分にあるので、スワップ領域は作らないことにします。
Debian をインストールするパーティションを作成するハードディスク(/dev/hda)を選択すると、 cfdisk が表示されます。
この画面では、十字キーの左右で実行項目(コマンド)の選択を、 十字キーの上下で操作対象となるパーティションの選択を行います。 (Enter キー)を押すと、 現在選択中の項目(コマンド)の実行を、対象パーティションに対して行います。
以下に選択可能な項目(コマンド)を対象別に示します。 (joho3 のインストールに使用したコマンドは太字になっています)
項目(コマンド) | 効果 |
---|---|
Bootable | 起動可能であることを示すブートフラグを付けます |
Delete | パーティションを削除します |
Help | 操作ヘルプを表示します |
Maximize | パーティションの未使用領域を活用します。 ただし、他のOSでディスク管理した際に問題が発生する可能性があります。 |
パーティションの詳細情報を画面またはファイルに出力します | |
Quit | パーティション情報をディスクに書き込まずに終了します。 パーティション情報の変更はキャンセルされます。 |
Type | パーティションの種類を指定する事ができます。スワップパーティションを作成する場合には これを選択する必要があります。 |
Units | パーティションのサイズの表示を、MB→セクタ数→シリンダ数、 と切り替えます。 |
Write | パーティション情報をディスクに書き込みます |
項目(コマンド) | 効果 |
---|---|
Help | 操作ヘルプを表示します |
New | 新しいパーティションを作成します |
パーティションの詳細情報を画面またはファイルに出力します | |
Quit | パーティション情報をディスクに書き込まずに終了します。 パーティション情報の変更はキャンセルされます。 |
Units | パーティションのサイズの表示を、MB→セクタ数→シリンダ数、 と切り替えます。 |
Write | パーティション情報をディスクに書き込みます |
パーティションを作成するディスク (/dev/hda) を選択し、
3000 MB のうち、
2000 MB を / (ルート)に、1000 MB を /home に分割します。
(なお、実際には設定と少しずれた値になります。)
それぞれの領域の大きさは適宜変更して構いません。
システム領域(ルート)と
ユーザ領域(ホーム) がそれぞれ1GB以上あれば構わないでしょう。
なお、boot フラグは hda1 (Windows 領域)に 付けておきます。
手順としては、おおよそ次のようになるでしょう。
- Windows 用のパーティションを残し、他をいったん [Delete]。
- そうして出来た Free Space に [New] とします。
- 「Primary」「Logical」といった選択肢が出るので、「Primary」 を選択します。
- 次は容量を聞かれるので、2000 MB をこのパーティションに割り当てます。
- 最後に「Beginning」「End」「Cancel」の選択肢が出るので、 「Beginning」を選択します。 (これは、領域の前からパーティションを作るか、後ろから作るのかを意味します)
- この作業で、ルートパーティション用の「/dev/hda2」が作成されました。
- 残りの Free Space に [New] して
ユーザー領域 ( /home ) を作成。 ( /dev/hda3 )
手順3,4,5に関しては先ほどと同じです。 - 「Flags」のところに「boot」というのが付いていたら、そのパーティションには 「ブートフラグが立っている」といいます。 Windows領域 ( /dev/hda1 ) 以外にブートフラグが立っていたら [Bootable]を選択してブートフラグを外します。
- Windows領域 ( /dev/hda1 ) にブートフラグを立てます。(特別) (やり方はブートフラグをはずすときと同じです)
- 最終的に下のようになっていれば OK です。
- [Write] して変更をディスクに反映させます。
- cfdisk を [Quit] し、次のインストール項目へ。
Name Flags Part Type FS Type Size (MB) (デバイス名) (フラグ) (パーティションの種類) (ファイルの種類) (ディスク容量) -------------------------------------------------------------------------------- /dev/hda1 boot Primary Win98 Fat32 3000 MB /dev/hda2 Primary Linux ext2 2000 MB /dev/hda3 Primary Linux ext2 1000 MB |
[2.4.3] スワップパーティションの初期化 - Initialize and Activate a Swap Partition
スワップパーティションを作成しなかったので、メニューの "Next" には再度 "Partition a Hard Disk" が表示されます。今回、スワップパーティション領域は 取らないので、 「Alternate: Do Without a Swap Partition」を選択/実行します。
[2.4.4] Linux パーティションの初期化 - Initialize a Linux Partition
「Next: Initialize a Linux Partition」を選択/実行。 /dev/hda2を選択(OK)します。
幾つか質問されますが、全てデフォルトのままにします。 最後にマウントポイントを / にするか聞いてくるので Yes を選択します。
メニューに戻ります。
/dev/hda3 も初期化したいので、 「Alternate: Initialize a Linux Partition」を選択/実行。 /dev/hda3 を選択(OK)します。
幾つか質問されますが、全てデフォルトのままにします。 最後にマウントポイントを聞かれるので、 /home を選択します。
[2.4.5] カーネルとモジュールのインストール - Install Operationg System Kernel and Modules
「Next: Install Operationg System Kernel and Modules」 を選択/決定します。 インストールメディア を聞かれるので、「cdrom : CD-ROM drive 」を選択します。 CDがCD-ROMドライブに入っていなければ入れるようにメッセージが表示されるので、DISK1を入れて (Enter キー)を押して下さい。 既に入ったままならばそのまま続けて結構です。
次にCD-ROMの仮のマウントポイントを指定しますが、デフォルトの「/instmnt」 で良いので、そのまま (Enter キー)を押します。
その次はパスを聞かれますが、デフォルトのままの 「default : The default stable Archive」で結構です。
これらの選択が終わると自動的にCD-ROMから読み込みが始まり、 カーネルとモジュールのファイルのインストールが行われます。
[2.4.6] デバイスドライバモジュールの設定 - Configure Device Driver Modules
「Next: Configure Device Driver Modules」を選択/決定。 以下のモジュールをインストールします。
- fs category
- nls_cp437
- nls_cp932_euc_j
- nls_iso8859_1
- smbfs
- umsdos
- vfat
- net category
- tulip(ネットワークカードのドライバ)
コマンドラインの入力画面(「Enter Command-Line Arguments」)になりますが、 何も入力する必要はありません。(デフォルトで (Enter キー)を押して下さい。)
- tulip(ネットワークカードのドライバ)
[2.4.7] ネットワークの設定 - Configure the Network
「Next: Configure the Network」を選択/決定します。
途中で聞かれる「DHCP を使いますか」という質問には、
No を選択します。
(細かく言えば、DHCPクライアントとなって、DHCPサーバを利用するのかと聞かれています。)
入力項目 | 入力内容 |
---|---|
ホスト名 |
joho3 (最初に表示されてる debian は消す。) |
IP アドレス |
133.87.45.83
(これはjoho3に割り振られたグローバルアドレス) |
ネットマスク | 255.255.255.128 |
ゲートウェイ | 133.87.45.1
(「kurage」ルータ) |
ドメイン名 | ep.sci.hokudai.ac.jp |
DNS サーバ |
133.87.45.70 133.87.45.66 133.87.1.11 (各 IP をスペースで区切って入力) |
[2.4.8] 基本システムのインストール - Install the Base System
基本的には 「カーネルとモジュールのインストール - Install Operationg System Kernel and Modules」 の時と同じです。
「Next: Install the Base System」を選択/決定。 インストールメディア を聞かれるので、「cdrom : CD-ROM drive 」を選択します。 CDがCD-ROMドライブに入っていなければ入れるようにメッセージが表示されるので、DISK1を入れて (Enter キー)を押して下さい。 既に入ったままならばそのまま続けて結構です。
次にCD-ROMの仮のマウントポイントを指定しますが、デフォルトの「/instmnt」 で良いので、そのまま (Enter キー)を押します。
その次はパスを聞かれますが、デフォルトのままの 「default : The default stable Archive」で結構です。
これらの選択が終わると自動的にCD-ROMから読み込みが始まり、 基本システムがインストールされます。
[2.4.9] 基本システムの設定 - Configure the Base System
「Next: Configure the Base System」を選択/決定します。
- 地域ディレクトリ (左側の選択肢):
- Asia (デフォルト)
- タイムゾーン(時間帯)(右側の選択肢):
- Japan
- マザーボードに搭載されている時計の時間を GMT(グリニッジ標準時)に合わせるか:
- Yes
[2.4.10] HDD から OS がブートできるように設定 - Make Linux Bootable Directory From Hard Disk
「Next: Make Linux Bootable」を選択/決定します。
Linux のブートローダである LILO をインストールする場所を聞かれるので、
「 /dev/hda2 : Install LILO in the /target/boot sector. 」を選択します。
すると MBR へインストールするかと確認されるので、
Yes を選択します。
続いて /dev/hda2 の Debian システムをデフォルトで起動するかと聞かれるので、
No を選択します。
[2.4.11] 起動フロッピーディスクの作成 - Make a Boot Floppy (特別)
起動用のフロッピーディスクを作成します。何処かから適当なフロッピーディスクを探し出して下さい。
情報実験3番機では、Linuxでの通常の起動が不可能(原因不明)なので、 必ず起動ディスクは作成してください!!!
「Next : Make a Boot Floppy」を選択/決定します。
「Please place a bland floppy disk in the first flopy disk drive, and press ENTER.」
と表示されたら、空のフロッピーディスクをドライブに入れて
(Enter キー)を押して
下さい。フロッピーディスクに書き込みが始まります。
作成し終わったら、フロッピーディスクに作成者の名前と、 どのパソコンの起動ディスクなのかを書き込んでおいて下さい。 この後すぐ使用します。
この起動ディスクの内容を削除・変更してしまうと Linuxの起動が行えなくなるので、フロッピーディスクにロックを かけておくことを勧めます。
[2.4.12] システムの再起動 - Reboot the System (特別)
「Next : Reboot the System」 を選択します。
理由は不明ですが、情報実験3番機では通常の起動が不可能です。 そのため、先ほど作成した起動ディスクでの起動を行います。 よって、再起動する前に起動ディスクをFDDに入れておいてください。
今後 Linux で起動・再起動を行う際には必ずこの起動ディスクで起動させるので 無くさないようにして下さい。
また、CD-ROMを入れっぱなしだと、インストールメニューがもう一度
立ち上がってしまうのでCD-ROM は取り出しておいてください。
もしも、インストールメニューが立ち上がってしまったら、
「Reboot the System」を選択してもう一度リブートしてください。
今度はCD-ROMを取り出し忘れないように。
「システムを再起動しますか?」と聞かれるので、 Yes を選択します。
[2.5] 再起動後の設定
再起動すると以下の質問が行われます。
- 暗号化プログラムの選択:
パスワードを暗号化するプログラムとして md5 を用いるかどうか 聞いてくるので Yes を選択。 crypt よりも md5 の方が暗号化ルーチンとしては優秀。
- Shadow Password の設定:
Shadow Password を用いるかどうか聞いてくるので Yes (デフォルト)を選択。 シャドウパスワードに関しては *** 2000年度 情報実験第 2 回 *** を参照のこと。
- ルートのパスワード設定
ルートのパスワードを設定するように要求される のでしかるべく設定します。 パスワードの付け方に関しては *** 2000年度 情報実験第 2 回 *** を参照のこと。 くれぐれも忘れてしまう事のないように!!
- 最初のユーザの設定
後で作ってもいいのですが、 Yes を選択して、作成してしまいます。
新しく作るユーザーのユーザー名、フルネーム、パスワードおよび確認パスワードを順に入力すると、ユーザー登録完了です。(他にもユーザーがいる場合は後で設定します。)
- PCMCIAサポートの削除
PCMCIA関係のパッケージを削除するのかどうかを聞かれます。 Yes を選択して削除してしまいましょう。
- PPP の設定
PPP は使わないので No (デフォルト)を選択。
[2.6] パッケージのインストール
[2.6.1] パッケージをどこから取得するのか選択
Debian GNU/Linux では、ソフトウェア(パッケージ)を全てネットワーク上からダウンロードし、 インストールすることが出来ます。(今回はCD-ROMからインストールします) この機能を apt というソフトウェアが担っています。 (どこにどのように Debian 用パッケージが集積されているかについては、 こちらを参照のこと)
- パッケージのインストール画面では、まず apt の設定方法を聞かれるので、 cdrom を選択します。
- 備考…ここで edit sources list by hand を
選んでネットワーク上からパッケージをインストールしても構いません。
(こちらの方が最新のパッケージをインストールできます)
もしもそうするのであれば 情報実験 Debian GNU/Linuxインストールガイド や 専攻サーバ構築ガイド ソフトウェアのインストール などを参考にして下さい。