文章PDF版 2011.09.11版
2011年3月11日,東北地方太平洋沖地震が発生し福島原発の原子炉冷却機能が失われた結果,放射性物質の環境への拡散という深刻な事態が発生しました.その後,放射性物質の大気中への拡散について,国内でもっとも研究開発が進んでいる数値モデルSPEEDIによる計算結果が公開され,拡散予測とともに過去の放出時の検討も行われるようになりました.しかし大気中の物質拡散を予測することにどのような困難がありどのような不確実性があるのか,数値計算結果はどれくらい信用できるのかという点については,必ずしも広く理解されているとはいえない状況にあると思われます.そこでここでは,気象力学など地球流体力学を専門としている研究者が,このような大気拡散予測の現状を説明することを試みます.この文書は,震災発生当時,有志にて大学初年次レベル程度の解説を作ろうと企画したものですが,遅筆な編集担当のせいで震災からすでに半年が過ぎてしまいました.時期を逸した感は否めませんし,個別的な情報は古くなってしまっているかもしれませんが,一般的な考え方は変わらないと思いますので,QandA形式でまとめた文章を,いまさらではありますが,掲載したいと思います.このような文章がさらに必要となるような事態が再発することのないことを祈りつつ(2011/09/11)。
詳細は本文参照
名古屋大学 CReSS による 大気中の移流拡散数値実験
詳細は本文図2.1参照
数値実験 輸送, 3 次元表示 2011.3.15.06JST
図中のボールは後方流跡線解析を行なった結果.
白: 乾燥空気に沿ったもの. 途中降水がある場所で一部の粒子を降水の落下速度に応じて落下させ, 青色: 降水, 黄色: 降雪, 紫色: 降霰.
京都大学 大気中の移流拡散数値実験, MM5 利用
詳細は本文図4.8参照