=== GFD オンラインセミナー 第 14 回 * 日時: 2024 年 6 月 3 日 (月) 10:30 - 12:00 * 話題提供者とタイトル 小笠原 宏司 (京都大学大学院理学研究科) 「全球数値予報に向けた動径基底関数離散化手法」 * 要旨:  Radial Basis Function (動径基底関数: RBF) は距離のみに依存する関数である。RBFは球面上の双曲線型偏微分方程式の解法にも適用でき、メッシュレス法でありながら、簡単であり、スペクトル手法と競合できる精度がある。RBFを用いた球面上の双曲線型偏微分方程式の解法にはいくつか種類があるが、本発表では手法の中で計算量が少ないRBFを用いて生成された差分法(RBF-generated finite difference: RBF-FD)について述べる。  RBF-FDは有限差分法のように微分を求めたい点と近傍の点に重みwを設定し、その重みと被微分関数fとの積fwの総和で微分を求める。大気分野ではRBF-FDは移流モデルと浅水波方程式モデルに適用されている。移流モデルでは他のスペクトル手法と競合できる精度があることが示され、浅水波方程式モデルではRBF-FDは少ない自由度でも流れの特徴を捉えられることが示されている。近年、RBF-FDの欠点であった飽和誤差(高解像度化しても一定値で残る誤差)を簡単に回避できる手法 (RBF-FD with polynomials)が考案された。現状、大気分野では移流モデルまで適用されている。  しかし、RBF-FD with polynomialsを適用した先行研究の手法は3次元デカルト座標系で微分を計算するため、その離散化手法で浅水波方程式モデルを開発すると運動方程式を解く際に3本の式を計算する必要がある。2次元座標を適用すると運動方程式が2本になり、計算を高速化できる可能性がある。  そこで本研究ではRBF-FD with polynomialsにcubed sphere手法を適用する方法を提案する。本発表では提案した手法を移流モデルと浅水波方程式モデルに適用し、標準実験を行った結果を示す。 時間に余裕があれば、RBF-FD(with polynomialsではない)を水平離散化手法として適用したプリミティブ方程式モデルについて述べる。