=== GFD オンラインセミナー 第 6 回 * 日時: 2021 年 7 月 12 日 (金) 10:00 - 12:00 * 話題提供者とタイトル: 石原 卓(岡山大学大学院環境生命科学研究科)「宇宙物理における乱流現象解明のための計算科学 ー原始惑星系円盤乱流中のダスト成長ー」 * 要旨: 従来,原始惑星系円盤中の微惑星形成のシナリオにおいては,円盤ガスの乱流中で運動qするダストの衝突付着成長過程が乱流中の慣性を持ったダスト粒子(慣性粒子)の平均衝突速度の理論的評価を用いて議論されてきた.しかし,完全なシナリオの構築のためには,粒子の衝突付着成長に対する乱流の影響,特に,乱流中を運動する慣性粒子の慣性の大きさに依存する濃集(乱流クラスタリング)とそれに伴う運動を考慮して,ダスト粒子の衝突付着成長過程を正しく理解する必要がある.宇宙分野における乱流現象のシミュレーションは,これまで多くがオイラー方程式を解くものであり,慣性小領域を十分に分解するものではなく,散逸領域についても数値粘性による近似的な取り扱いしかなされてこなかった.近年,我々はナビエ・ストークス方程式の大規模な直接数値シミュレーションを用いて慣性粒子の運動の追跡を行い,レイノルズ数が高い乱流中のダスト粒子の可能な衝突過程について数値的な解析を進めている。講演では、乱流中の渦構造と粒子の運動の関係についてこれまでに得られている結果と現在「富岳」を用いて取り組んでいる大規模な数値実験について紹介する。 * 参考文献: Y Sakurai, T Ishihara, H Furuya, M Umemura, K Shiraishi, Effects of the Compressibility of Turbulence on the Dust Coagulation Process in Protoplanetary Disks, The Astrophysical Journal 911 (2), 140 櫻井 幹記, 白石 啓貴, 石原 卓, 一様等方性乱流中の粗視化された 高渦度領域周りの慣性粒子の分布と運動, 土木学会論文集 A2(応用力学), Vol. 75, No. 2 (応用力学論文集 Vol. 22), I_509-I_518, (2019) Y Sakurai, T Ishihara, Relationships between Small-scale Fluid Motions and Inertial Particle Clustering in Turbulence, Journal of the Physical Society of Japan 87 (9), 093401 (2018) T Ishihara, N Kobayashi, K Enohata, M Umemura, K Shiraishi, Dust coagulation regulated by turbulent clustering in protoplanetary disks, The Astrophysical Journal 854 (2), 81 (2018)