=== GFD オンラインセミナー 第 3 回 * 日時: 2020 年 12 月 7 日 (月) 15:00 - 17:00 * 話題提供者とタイトル: 中島涼輔 (九州大) 「連続モードの出現に着目した2次元回転球面上の磁気流体波動の解析」 * 要旨: 大気・海洋の力学で様々な波が姿を現すように, 地球内部の液体コア (外核) に波動が存在しても不思議ではない. そのような外核内を伝播する変動は, 地磁気の変動として間接的に検出できるかもしれない. 最近, 地球外核の最上部に安定成層領域 (e.g. Helffrich & Kaneshima, 2010) があるかもしれないと注目されており, その領域を伝播する波動から成層の特徴をなんとか知ろうとする試みもある (e.g. Buffett, 2014). そこで, この波動伝播をより理解するため, 手始めに回転球面上の2次元磁気流体について考える. そのような系では, 2 種類の磁気ロスビー波の存在が知られているが, 地磁気変動と関係しうるのはそのうち「遅い磁気ロスビー波」と呼ばれているものである. この波は慣性項が寄与していないため, 外核内の波動と地磁気変動を結びつける研究では, しばしば慣性項を無視する近似が用いられる. しかし, 背景場として選んだ磁場分布が局所的に 0 に近い値を持つとき, この近似が適切かどうかは明らかではない. そこで, この近似を用いることなく固有モードの計算を数値的に行った. この近似を用いない場合, 背景磁場分布の選び方によっては, 連続シアー流の問題でよく知られた連続モードと数学的に同じものが得られてしまう. さらに, この連続モードが現れる場合に, 遅い磁気ロスビー波の離散モードが消失してしまう例があることがわかった. 解析的な推察からも, 地磁気変動と関与しうる離散モードが存在することは, このモデルにおいては難しそうだと予想している. 本研究はすでに, 水平磁気拡散 (オーム散逸) の効果を加え, 浅水系への拡張も行っている. これらの結果の詳細は本発表では省略するが, 連続モードに関係するいくつかの内容について簡単に紹介する. * 参考論文: Helffrich & Kaneshima, 2010: Nature, 468, 807-810 Buffett, 2014: Nature, 507, 484-487 中島, 2020, 博士学位論文 https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_detail_md/?reqCode=fromlist&lang=1&amode=MD823&bibid=4059999