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シアー不安定の定性的な説明・擬運動量

伊賀 啓太(九大・応用力学研究所)
2003 年 9 月 9 日
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固有値問題の解を物理的に理解したい
  • ラグランジュ保存量である渦位に注目する


例題:
基本場の渦位境界である y = -L において波形の変移を考える.
  • 流体粒子の全渦位が保存されることを考慮して, 擾乱の渦位を考える.
  • パターンは x 正方向に伝播


例題:
基本場の渦位境界である y = -L において波形の変移を考える.
  • 流体粒子の全渦位が保存されることを考慮して, 擾乱の渦位を考える.
  • パターンは x 負方向に伝播


擾乱が強め合う場合の定性的説明
  • 逆位相の場合は弱め合う.
    • Im(c) < 0 の解に対応する.


擾乱が強め合う条件
  • 互いに逆方向に伝播するような擾乱の組がある場合に強め合う.


擾乱が強め合う条件 (つづき)
強め合うのに都合のよい位置関係を保つには…
  • 擾乱は相対的に逆方向に伝播する.
  • 基本場も含めて同じ速度で伝播する.
基本場も含めて同じ速度で伝播しないと, 強め合う位置関係を維持できない.
  • 時間とともに擾乱の位置関係が変化するため.


不安定が起こるのは…
  • 中立波の分散曲線が交わる
  • 位相速度はその波が存在する場所の流速の中間値
    • 擾乱が振幅が空間的に広がりをもつ場合, 「波が存在する場所の流速」をどう評価するか?


「その波が存在する場所の流速」をどう評価するか?
  • はっきり決められない場合もある
  • 別の判定条件を考える : 擬運動量の導入


擬運動量の導入


浅水系の擬運動量


擬運動量の性質にともなう制約条件
  • 不安定波の擬運動量は 0 でなければならない


擬運動量が 0 となる場合
正と負の擬運動量を持つ波の対を考える.
  • 中立波 : 正と負の擬運動量を持つ波の重ね合わせ
  • 不安定波 : 正と負の擬運動量を持つ波がある位相関係を保って存在
    • 負の擬運動量を持つ波から正の擬運動量を持つ波へ向かう 擬運動量フラックスがあるとする
    • 擬運動量の大きさを強め合う = 振幅を強め合う


その他の保存量 : 擬エネルギー
  • フーリエ成分を仮定した式で考える


複素共役の和: 擬運動量保存の導出


複素共役の差: 擬運動量保存の導出
  • 擬運動量 × cr な量(擬エネルギー)が存在する.
  • 擬運動量は保存量なので, 擬エネルギーも保存量.


擬エネルギーを用いた解釈
U が一定の場合
  • cr - U と擬運動量は同符号となる.
浅水系の場合も定義できる.
  • q', Q の定義が異なることに注意


参考文献
  • Drazin, P. G., and W. H. Reid, 1981:Hydrodynamic stability, Cambridge Univ. Press, pp. 527.
  • Satomura, T., 1981: An investigation of shear onstability in a shallow water. J. Met. Soc. Japan, 59, 148-167.
  • Hayashi, Y.-Y., and W. R. Young, 1987: Stable and unstable shear modes on rotating parallel flow in shallow water. J. Fluid. Mech., 184, 477-504.


Odaka Masatsugu 2003-09-09