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はしもとじょーじ
Last Updated on 10 June, 2010.



14.金星地表面の放射率分布の推定:Galileo探査機/近赤外分光撮像カメラ
   [Roos-Serote(リスボン天文台)・杉田准教授(東大)、他との共同研究]

 Galileo探査機が1990年に金星フライバイをした際に取得されたデータを解析して、金星地表面の近赤外線(1.18um)での放射率分布を推定した.その結果、金星では高地で放射率が小さく低地で放射率が大きい傾向のあることが発見された.
 近赤外域(1um付近)の放射率は主に岩石の鉄含有量によって左右され、鉄が多いものほど放射率が大きくなる.すなわち、金星の低地は高地に比べ鉄に乏しい岩石でできている可能性が示唆される.金星の高地を構成する岩石を制約することのできる情報はほとんど存在しないが、鉄含有量の少ないカコウ岩は金星の高地を構成する岩石の候補のひとつである.カコウ岩を生成するには水(海洋)と沈み込み(プレート・テクトニクス)が必要であると考えられており、この放射率推定の結果は過去の金星には海洋やプレート・テクトニクスがあったことを示唆しているのかもしれない.

Hashimoto, G. L., M. Roos-Serote, S. Sugita, M. S. Gilmore, L. W. Kamp, R. W. Carlson, and K. H. Baines (2008)
Felsic highland crust on Venus suggested by Galileo Near-Infrared Mapping Spectrometer data
J. Geophys. Res., 113, E00B24, doi:10.1029/2008JE003134.
Link
nature news -- Venus may have had continents and oceans (Bruce Dorminey)

金星にも海があった? Spork (早稲田大学ジャーナリズム大学院のウェブマガジン)


George L. HASHIMOTO