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deepconv において, 各凝縮成分の相平衡状態は, 計算コストの問題から, Sugiyama et al. (2006) で用いたギブス自由エネルギー最小化法 ではなく, 飽和蒸気圧と化学反応の圧平衡定数で与えることとした. 飽和蒸気圧の経験式として Antoine の式(化学便覧 改訂 5 版)を用いる. 潜熱はクラウジウス・クラペイロンの式に Antoine の式を代入することで得る. NH4SH の生成反応の圧平衡定数は Lewis (1969) より得る.
Sugiyama et al. (2006) で示された静的安定度の鉛直分布 を表現できるか確認するために, 対流モデルに含まれる相平衡状態を計算するためのコード群を用いて 断熱温度減率と静的安定度の見積もりを行った. 破線は Sugiyama {it et al}. (2006) の結果である. 大気深部での温度圧力は Sugiyama et al と同じ値(2.0e6 Pa において 441.0 K)を用いた.
木星大気組成を太陽組成(Asplund et al., 2005)の 1 倍とした時の結果を示す. 水素の比熱の温度依存性を無視したために, 断熱温度減率は最大で 25% のずれを生じる. しかし, 各凝縮成分の凝結高度と静的安定度の値のずれは小さく, 成層構造がおおむね正しく表現できることが示された.
Sugiyama et al. (2006) で用いた水素等の比熱の温度依存性は以下を参照.
計算結果一覧
temp.png
温度 |
dtdz.png
断熱温度勾配 |
stab.png
静的安定度 |
molfr_H2O.png
モル比 (水) |
molfr_NH3.png
モル比 (アンモニア) |
molfr_H2S.png
モル比 (硫化水素) |