DCPAM の力学過程の実装実験の参照用として, AGCM5 において Held and Suarez (1994) の力学コアベンチマークテストを行った. このテストは, 大気大循環モデルの力学過程を 評価するためのベンチマーク計算である. この実験では, 温度場にニュートン冷却を与え, σ < 0.7 の速度場に レイリー摩擦を与え, ニュートン冷却で大気をある温度分布に近づける. (詳細は Held and Suarez (1994) を参照のこと).
環境, およびパラメータは以下の通り. 結果は下記に記す.
| システム (uname -a) | SUPER-UX unix 17.1 SX-8R | 
| コンパイラ | FORTRAN90/SX | 
| 依存するライブラリとバージョン | 
 | 
| プログラムのソースコード | agcm5.3-20020620 の物理過程の効果を外し, 2Δt の前方差分として
      Held and Suarez (1994) の効果を加えた
      [TAR.GZ] ビルド時の設定ファイル | 
| NAMELIST ファイル | info00/agcm5.t42l20.hs94.nml | 
| 初期値 | 渦度, 発散, 比湿はゼロ. 地表面気圧は一定 (1000 hPa). 温度は基本場が 250 K で微小擾乱が与えられている. 擾乱の分布については 初期値および実験結果 の項目を参照のこと. | 
| 計算領域 | 水平(λ,φ)      : 全球 (λ=[0, 360], φ=[-90, 90]) 鉛直(σ=p/p0) : 大気下端〜上端 (σ = [0, 1]) | 
| 時間間隔 | 20 分 | 
| 積分時間 | 1200 日 | 
| 境界条件 | 水平(λ,φ) : 周期境界条件 鉛直(σ) : dσ/dt = 0 (σ = 0, 1) | 
| 数値解法 | 
 | 
| 空間解像度 | 東西格子点数 : 128 南北格子点数 : 64 鉛直格子点数 : 20 | 
| 最大波数 | 42 | 
| 惑星半径 | 6.371e+6 [m] | 
| 回転角速度 | 7.292e-5 [1/s] | 
| 重力加速度 | 9.8 [m/s^2] | 
| 大気定圧比熱 | 1004.6 [J K^-1 kg^-1] | 
| 大気気体定数 | 287.04 [J K^-1 kg^-1] | 
| 最大波数に対する e-folding time | 8640.0 [s] | 
| 超粘性の次数 | 8 | 
| 標準出力 | info00/agcm5.t42l20.hs94_stdout.txt | 
| 標準エラー出力 | info00/agcm5.t42l20.hs94_stderr.txt | 
| プロファイラによる速度計測 | info00/ftrace.txt | 
| 初期温度場 | |||
|   
           
              σ=0.97 |   
           
              σ=0.52 | 最上端である σ=0.02 では 250K で一定. | |
| 実験結果 | |||
|   
           
             
200 日目から 1200 日目までを平均した, 帯状平均東西風
 |   
           
             
σ=0.2 近傍の帯状平均東西風の時間変化
 | ||
|   
           
             
200 日目から 1200 日目までを平均した, 帯状平均南北風
 |   
           
             
200 日目から 1200 日目までを平均した, 帯状平均温度
 |   
           
             
200 日目から 1200 日目までを平均した, 鉛直風
 | |
|   
           
             
地表面気圧の平均値の時間変化
 1200 日でおよそ 0.002 mb ほど減少していることが分かる. 一方で, レイリー摩擦とニュートン冷却をステップ t+Δtへの補正として与えた場合 には, 1200 日でおよそ 8 mb 弱減少する. |