● 最近の他の GCM
Ames grid point
GFDL grid point
LMD grid point
Oxford Univ. spectrum
- grid モデルが主流
- ダストが入っているので τ=0 の計算はほとんどやらない
- polar warming を再現するために上部境界を高く(〜100km)している
- Mellor and Yamada Level 2 or 2 1/2 ? に準じたスキーム
- 重力波 breaking のパラメタリゼーション (LMD and Oxford)
Mars Pathfinder, Mars Global Surveyor の観測結果と比較が盛ん
● やろうとしたこと
地面から下部熱圏(〜120km)までの広い高度範囲を含む火星大気大循環
モデルの開発
火星下層から中層大気までを含めた子午面循環の季節変化など再現
● モデル
方程式系 プリミィティブ方程式
空間分解能
水平 10°x 11.25°(緯度×経度)
鉛直 35層(0〜120km)
タイムステップ 100 秒
Leap-flog + Matsuno scheme (Matsuno,1966)
空間差分 Arakawa-B グリッド (本研究)
Arakawa-C グリッド (Ames)
考慮している物理過程
ダスト無し
CO2 大気 (H2O や O3 等は考えない)
CO2 による放射加熱
地表面過程の計算
大気中と地面における CO2 相変化による潜熱
ただし大気量の変化は考えない.
散逸過程
乱流拡散
地表面フラックスはバルク法
乾燥対流調節
入力パラメータ
地形の起伏(Mariner 9 等の観測に基づく)
地表面アルベド
季節(太陽-火星間距離・自転軸の傾き)は時間とともに変化
放射計算は? 散乱なしの放射伝達方程式を解く.
● 結果
東西平均場の東西風
grid モデルだと 80 km 付近で赤道に西風ができる.
spectral モデルだと東風ができて西風できない.
この西風は潮夕波らしい.
spectral モデルだと wave-mean flow 相互作用の効果が大
きい.
質量流線関数
春分, 秋分時には赤道対称な循環.
夏至, 冬至では東西の向きが逆の循環(いわゆる地球の中層
大気の循環みたいになる).
北半球と南半球で逆になるのは何故か?
これを調べるため数値実験を行った.
標準計算 全て含む計算
Case I 全て含めない計算
Case II 季節変化だけを入れた計算
Case III 地形のみ含む計算
Case IV アルベドのみ含む計算
Case V 熱慣性のみ含む計算
Case III はあきらかに他と異なる
Case IV と Case V はよく似ている
やはり地形の影響が重要である事が分かる.
本モデルにおいて循環の南北非対称性をつくり出す最大の要因は南北半
球間の高低差(平均 3.8km)である.
● 考察
なぜ高低さによって東西非対称循環ができるのか?
南北半球で高低さがあるにもかかわらず地表面温度はほぼ南北対称であ
る.
低緯度では σTs^4 と -(1-A)Fs が卓越. 結果として南北対称な地表面
温度が実現されていると考えている.
ある高度では温度差が生じる
● まとめ
火星地表面から下部熱圏(〜120km)までを含む火星大気大循環モデルを
独自に開発.
結果:
分点(春分, 秋分)においては太陽に対して自転軸が傾いていないにもか
かわらず, 循環パターンに南北非対称性が生じた.