Ekman螺旋

作業流体の粘性

エクマン層の厚さは(2ν/f)1/2程度 (νは粘性係数,fはコリオリパラメタ) である. 作業流体として普通の水 (ν=0.01 cm2/s) を使うと, 回転数が10回転毎分 (f=2)のとき, エクマン層の厚さは 1mm 程度になってしまう. これを可視化するためには,水よりも2桁程度粘性が高い作業流体を 使わないと,「らせん」を可視化するのは難しい.

インク

可視化のための色素としてインクを使うと, 何度も実験するうちに作業流体に色がついてしまい, 使えなくなってしまう. そこで, 色水として水酸化ナトリウム水溶液にフェノールフタレインを 混ぜたものを使うと, 実験後, 作業流体をよくかき混ぜれば色が消える.

さらに, この実験では,色水に食塩を混ぜて比重を作業流体より ほんのちょっと重くなるくらいに調整してある. これは色水の頭の部分 (キノコ雲のような先端部) が 浮かび上がって来てしまうことを避けるためである.

色水を射出する

回転台上で色水を射出するのは, 手動ではできない. あらかじめ 電磁石で引き延ばしておいたバネの力を使って 注射器のピストンを動かした.

グリセリンの吸湿性

グリセリンは非常に吸湿性が高い. そのため,水溶液を放置すると表面から空気中の水分を吸収して, 粘性率が変わってしまう. そのため,毎回,実験開始前にティッシュペーパーで 表面の作業流体を吸収して破棄し, なるべく短時間で実験を行うことがポイントである.