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deepconv/arare4 : H2O, NH4SH, NH3 の凝縮を考慮した木星雲対流

計算の概要

木星大気における平均的な流れ場と凝結成分の分布を数値的に求める. 標準実験に対して以下の設定を変更している.

• 放射強制を入れる高度を 160 km (1 bar) から高度 200 km (0.1 bar) に変更
  • 放射強制の強度の和は, 標準実験に等しい
    • 標準実験では鉛直 39 格子点に対して, -1 K/day の冷却. -1 * 39 = -39 K/day
    • 本実験では鉛直 19 格子点に対して, -2.05 K/day の冷却 -2.05 * 19 = -39 K/day

計算設定

• 計算領域
  • 水平 512 km,
  • 鉛直 300 km (下端で 30 bar, 上端で 0.00015 bar)
  • 解像度: 水平, 鉛直ともに 2.0 km
• 時間ステップ
  • 長い時間ステップ: 4 秒
  • 短い時間ステップ: 0.4 秒 (音波に対するクーラン数は約 0.2)
• 温度の初期分布:
  • 0 km (30 bar) -- 200 km(0.1 bar) までは等温位(30 bar で温度 490 K, 0.1 bar で温度 100 K)
  • 200 km より上空では等温.
  • 温度勾配に不連続が生じないように, 等温位領域と等温度領域の境界を双曲線関数を用いてなめらかにつなぐ.
• 放射強制:
  • 高度 160 km (1 bar) から高度 200 km (0.1 bar) の範囲で水平一様に -1 K/day の強制.
• 大気成分
  • 乾燥成分気体: H2(g), He(g)
  • 凝結成分気体: H2O(g), NH3(g), H2S(g)
    • 大気深部での存在比は太陽組成の 1 倍
    • 凝結高度より上空では相対湿度 75%
• スポンジ層:
  • 高度 200 km より上空にレイリー摩擦, 緩和時間を 500 秒
• 境界条件
  • 水平境界: 周期境界条件
  • 上下境界: 応力なし, w=0
  • 最下層の熱フラックスは拡散的に与える
    • F = Kπ(θ_1 - θ_boundary)/ 0.5 Δz (K = 800 m^2/sec)
  • 最下層の混合比は拡散的に与える
    • F = max( K π Δq / 0.5 Δz, 0.0 ) (K = 800 m^2/sec)
• 初期擾乱
  • 高度 100 km に最大 0.5 k の温度擾乱を乱数を用いて与える.
• 計算モデル時間
  • 1e+6 sec (ほぼ 12 地球日)

設定ファイル等

• arare.conf
• ソースファイル

特徴

• 標準実験では雲や雨が, H2O + NH4SH と NH3 の 2 層に分かれているのに対し, 本実験では H2O, NH3, NH4SH がほぼ重なり合って存在する
• 標準実験に比べ, NH3 の凝結量が多い.
  • 雲の分布より, ほぼ水平一様に凝結が生じていることがわかる
• 標準実験に比べ, 凝結成分気体は H2O 凝結高度の下まで移流しにくい

結果一覧

PotTempAnm.gif 温位の水平平均からのずれ	VelX.gif 水平流速	VelZ.gif 鉛直流速
Gas.gif 凝結性成分気体の混合比	Cloud.gif 雲混合比	Rain.gif 雨混合比
H2O-g_lin.gif H2O(g) 混合比	H2S-g_lin.gif H2S(g) 混合比	NH3-g_lin.gif NH3(g) 混合比