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ガスハイドレート入門

鈴木徳行
北海道大学 大学院理学研究科 地球惑星科学専攻
suzu@ep.sci.hokudai.ac.jp

[講演ビデオ]
海底の音波探査(右)
  • 海底内に物質の境界 (B.S.R.(Bottom Simulating Reflecter)) が観測される場合がある.
  • 南海トラフ付近に多く存在
  • B.S.R. があるとガスハイドレートがあると考えられている

ガスハイドレートの写真
  • 白い部分に水とメタンが結び付いた氷

メタンガスハイドレートの結晶構造
  • CH4 : H2O = 1 : 5.75

ガスハイドレートの相図(左)
  • 1000 m 程度の海では 0 C 以上で形成可
  • シベリアの永久凍土中にも存在
  • 埋没すると温度が上昇するため, ある深さより下では存在しなくなる.

ガスハイドレートの分布図
  • 大陸付近の浅い海に存在
    • 実際に採取したのは日本近海の 2 箇所
  • ほとんどは生物起源のガス (一部は熱分解ガス)
    • C の安定同位体比を測定して起源を求める (生物は C12 を選択的に摂取する傾向がある)
    • 生物起源のガス : δC13 = -50 〜 -80 ‰ (C12 に富む)
    • 熱分解ガス : δC13 = -20 〜 -35 ‰ (光合成植物による有機物を起源)
    • 大気 CO2 : δC13 = -7 〜 -8 ‰
  • 主要な生成者はメタン生成菌(と考えられている)
    • 独立栄養細菌のなかの化学合成細菌
    • 海底から 200 m 程度の深さの堆積物中に生息
    • CO2 から酢酸を作り CH4 を生成する
    • 実際にメタン生成菌を検出したわけではない
      • 地中の細菌をそのまま分類できるような技術がない
      • 海底堆積物ごと地上まで持ち上げると細菌は死んでしまう

参考文献
  • Kvenvolden et al., 1981:

2003-03-04 小高 正嗣 ©