/ 森羅万象学校 / 2003 / 過去の資料一覧 /

代替エネルギーを求めて - メタンハイドレート -

落合 浩志
石油公団 石油開発技術センター

[講演ビデオ1] [講演ビデオ2] [講演ビデオ3]
表紙

  • (左上, 右上) カナダ, マッケンジー川河口でのメタンハイドレートの採掘
  • (左下) カーリング風景

目次 1

目次 2

1. メタンハイドレートとは

メタンハイドレートの燃焼の様子
  • 実験室で人工合成したもの
  • 天然のものはこんなに白くない

メタンハイドレートの結晶構造

メタンハイドレートの結晶構造の模型

メタンハイドレートの結晶構造の模型
  • 12 面体構造の模型

メタンハイドレートの単位結晶構造

ガスハイドレートの結晶構造
  • (左) I 型
  • (右上) II 型
  • (右下) III 型

ガスハイドレートの構造
  • メタンハイドレートは I 型
  • ガスの分子量が大きなって, 分子の実効的な半径が大きくなると II 型, III 型へと変化する

結晶構造とガスの関係

ハイドレート結晶構造毎の安定曲線
  • 各曲線の左上側が安定領域

メタンハイドレート安定領域

メタンハイドレートの特徴

メタンハイドレートの特徴

メタンハイドレートの特徴

メタンハイドレートの特徴

メタンハイドレートの起源: 主要な起源は
  • 熱分解起源
  • 微生物起源
の 2 つ

メタンハイドレートの C 同位体分析
  • 縦軸: エタン (C2), プロパン (C3) に対するメタン (C1) の比
  • 横軸: ガス中の炭素に含まれる C13 の割合
  • 生物(バクテリア)は重い炭化水素をつくることができない
  • マッケンジー川のメタンハイドレートには生物起源のガスと熱起源のガスが混ざっている

熱起源ハイドレート: 深部ガス田からの移動
  • 通常のガスは通常 1000 km 以下に存在
    • 浅いと圧力が足りないので大気中に逃げてしまう
  • ハイドレートはガスよりも浅い領域に存在

ハイドレートが集積されいてる地層の構造
  • 典型的な地層構造 4 つ + その他 1 つ, という分類

天然メタンハイドレートの存在

メタンハイドレートの歴史 (1)

パイプライン中のガスハイドレート
  • パイプラインでは水とガスの混合物を流している
  • 一度できるとなかなか分解しない (ガスを流すため圧力をかけているから)

メタンハイドレートの歴史 (2)

深海底からのハイドレートコア

深海底からのハイドレートコア

BSR の存在
  • 海底を弾性波で調べる

BSR の特徴
  • 上に高密度物質, 解に低密度物質の存在を示す
    • 一般に地層では下層ほど圧密され高密度になる
  • BSR はハイドレート層の下面を表すを考えられている

弾性波のインピーダンス
  • 正から負への変化: 低密度から高密度への変化, ここでは海底を示す
  • 負から正への変化: 高密度から低密度への変化, BSR

南海トラフの BSR

2. 資源としてのメタンハイドレート

ハイドレートへの関心: 利点
  • 将来のエネルギー減
  • CO2 の廃棄先: ハイドレート中の CH4 を CO2 に置き換える
  • 天然ガスの貯蔵, 輸送に利用
    • 現在は気体, 液体にして輸送している
問題点
  • 深海で掘削可能な技術が必要
  • 天然ガスパイプラインを閉塞させる
  • 掘削時に海底地滑べりが起こると温暖化ガスである CH4 を大量に放出する可能性

資源としてのハイドレートの需要
  • アメリカの炭化水素資源消費予測

資源としてのハイドレートの需要
  • 日本のエネルギー供給

ハイドレートの埋蔵地点
  • 海底と永久凍土に存在
  • 海底では沈み込み帯の背後に多い
    • 地温勾配が低い

日本付近のハイドレートの埋蔵地点
  • 60% が南海トラフ海域
  • 推定埋蔵量は現在消費している天然ガス量 100 年分
    • 見積もり時にはハイドレート層の厚さは 2 m と仮定
    • 南海トラフ海域のボーリングでは厚さは 12 m

メキシコ湾での調査
  • (左) 海中ソナーの探査, ガスの湧き出しを観測
  • (中)
  • (右)

メキシコ湾でのボーリングコア

メキシコ湾でのハイドレート
  • 写真の幅 2〜3 m


マッケンジー川河口のハイドレート
  • マリックプロジェクトを実施

マリック実験の概要

掘削地点の地図

弾性波を用いた地中探査
  • 赤線より上に存在し可能
  • 青線より上には存在しない

掘削地点の航空写真

ボーリングした井戸内の物理探査
  • 深さ約 1 km の地下に存在

ボーリングした井戸内の物理探査
  • 深さ約 1 km の地下に存在
  • 生物起源とするとハイドレート形成の時間スケールは 100 万年程度

ハイドレート採掘抗

物理探査プログラム
  • FMI: 砂層と泥層のイメージング
  • CMR-EPS-HNGS: 空隙率を測定からハイドレートの埋蔵量を直接計算

ボーリングコア
  • 砂層のコア, 採掘直後

ボーリングコア, 採掘後 15 分後 (-10C)
  • 砂層はハイドレート逃げていくため径が細くなる
  • 泥層にはハイドレートがないので径は変わらない
    • 泥の空隙率は砂に比べ相対的に小さい

ボーリングコアの砂層, 採掘後 1 時間後 (-10C)

3. 日本国内に存在するメタンハイドレート

南海トラフでのボーリング

南海トラフでの掘削位置

南海トラフでの掘削位置

南海トラフでの BSR


ボーリングコアの解析
  • メタンガスの量
  • 温度
  • 塩分濃度

掘削抗内の物理探査
  • ハイドレート層は合計 12 m, 最下層は BSR に対応
  • ハイドレート層で抵抗の増加, 弾性波速度の増加, 空隙率の低下が観察される

主掘削抗から 100 m 先の掘削調査
  • 地層は傾斜しているが, ハイドレートの存在領域は変わらない

ボーリングコア内のメタンハイドレート

ボーリングコアの温度測定
  • メタンハイドレートの存在する所は低温
  • 分解時の吸熱反応による

ボーリングコアの薄片
  • 空隙が多い
  • メタンの抜けた穴と考えられる

東海沖地震探査: 探査領域
  • 2 次元の地震探査
  • 赤線は H13 年度調査(2.5 km 格子), 黒線は H8 年度調査

BSR 分布図
  • H13 年度調査で BSR 存在領域が拡大した

探査概要
  • 地震波の波長は約 5 m (鉛直分解能に対応)

探査領域格子分布

断面図
  • 赤が正, 黒が負
  • (上) H8 年度調査
  • (下) H13 年度調査, BSR が 2 つ見える. 間隔は 35 m 程度.
    • 上側の BSR はメタンハイドレート存在領域の下限を示す
    • 下側の BSR は不明,

断面図(拡大)
  • (上) H8 年度調査
  • (下) H13 年度調査, BSR が 2 つ見える.
    • 上側の BSR はメタンハイドレート存在領域の下限を示す
    • 下側の BSR は不明

断面図
  • 青が正, 赤が負

断面図 (拡大図)
  • 青が正, 赤が負

断面図
  • BSR が途中で切れ切れになっている, 原因は
    • メタンハイドレートがない
    • 断層になっている
    などが考えられる.

背斜型の BSR

BSR 分布図 (まとめ)

BSR 分布図と特徴 (1)

BSR 分布図と特徴 (2)

3 次元調査の選定基準

3 次元調査の予定地点

3 次元調査の概要

参考文献

2003-04-22 ODAKA Masatsugu